2018年5月4日夜8時30分。

真っ暗な狭い山道をぐにゃぐにゃと登り、車はようやく両神山荘下の駐車場に到着した。

途中の駐車場にも数台の車が止まっていたが、思い切って最上部まで行ってみると、10台そこそこの駐車場の半分が空いていた。

ラッキーだ。今夜はここで車中泊です。

明日朝と昼の食料は、ファミリーマートで購入済。
おにぎり、パン、饅頭、カロリーメイト、ビックサンダーチョコ、ドライフルーツナッツ、それから飴。

うまく調整すれば3日くらいは耐えられるくらい。

ツェルトも持ってきた。これで遭難しても大丈夫。
(いやいや、そんなに険しい山じゃないでしょ。途中に山小屋もあるし。)

車の天井(ガラスルーフなのだ!)を全開にして、星を見ながら眠りについた。

風は強いが星空は美しく、たぶん明日も晴れるでしょう。

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5月5日 朝5時。

両神山荘下の駐車場 500円を山荘に。

空が明るくなると、自然に目が覚める。

いつの間にか隣に駐車していた人が起き出し、ごそごそを動き始めた。

昨夜、隣はまだ空いていたはず、

いつ到着したのか気づかないくらい熟睡していたということか。

おそらく体力は大丈夫と自分に言い聞かせ、準備にとりかかる。

月の紋章のあのお方が

午後6時、両神山荘で登山届を出して、出発。

山荘が見えなくなると、じきに赤い鳥居を通過する。

ここは修験者の地でもある。(実際、そんな格好の人ともすれ違った。)

手を合わせて、今日の無事と、今後の幸せ、ちゃっかりお金持ちに、なんてお願いもする。

しかし、そんなお手軽な願いをした祟りだろうか、数分後に恐怖を味わうことになりました。

「ごろごろごろ・・」

ん? 何だ? カミナリ? 遠くでダンプが走ってる?

「ぐぉろごろごろ・・」

近くから聞こえる・・・もしかして、月の紋章のあのお方?

ちょっと口笛を吹いてみる。「ぴー、ぴー、ぴゅいー」

「ぐぉろごろごろ・・ぐるる・・」

後ろから別の登山客が来た。

「ちょっとちょっと、何か聞こえない?」

「え?そうですか?」

「いい?聞いててね。ぴゅー。ぴー。」

「ごろろ・・」

「聞こえた・・・」

「あの岩の影だよね。」

「ごろごろごろ・・」

「くま?」

「どうする?」

「クマに会ったら、静かに離れるのが基本だよね。」

「うん、行こう行こう。」

実際に姿は見ていないけど、かなり低い唸り声。

鹿とは違う。犬系のものより低い声。

ああ、怖かった。

でも、山だもん熊だっているよね。
そう言い聞かせて、あとは考えないことにします。

美しい新緑の道

しょっぱなからビビったが、山道は美しい。

人もまばらで、気持ちよく歩くことができる。

天気は良いけど木陰の道が続き、暑くもない。

これは、最高のコンデションだ。

しかし、山道は登っては下りをくり返し、あまり標高を稼いでいるとも思えない。

これは、思ったよりも時間がかかりそうだ。

9時、清滝小屋に到着。

ここまでの標準タイムが2時間少々なので、3時間かかった自分は1.5倍というペース。
でも、これで良い。

清滝小屋 素泊まり専用。

かつて、薬師岳に登った時に、ある場所で健脚者の早いペースを意地で追っかけてつぶれたことがありました。

今考えると、ほんとに無謀なペースでした。

山で自分の能力を過信するのは禁物です。

今回の裏テーマは「下山までへとへとにならないペース配分」なのですから。

鈴が坂というつづら折りの坂道を越え。

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時々、クサリ場もあったりして。

10時15分 両神神社到着。

ここまで来れば、山頂はもうすぐです。

しばらくは平坦な道。

再びクサ場をよじ登る。

最後のアプローチ。

11時ちょうど、山頂!

標準時間3時間半の行程を、5時間かけて堂々の山頂制覇です!

ここまでずーっと林の中だったので、山頂で突然眺望が開ける解放感も悪くありません。

遠くは八ヶ岳、そして富士山もうっすらと見えました。

山頂は狭く、次から次へと人が登ってくるので、早々に下山開始します。

途中、昼食タイムも取りながら、どんどん下り、

12時半に清滝小屋を通過。

午後1、弘法の井戸で水を飲み、

ゆっくりゆっくり山道を下ります。

ペースがまるで違う人たちをやり過ごし、最後まで慌てない。

急いでいた人の中には、
「3時10分のバスに間に合わせる!」
と言い残してぶっ飛んでいった人もいました。

ゆっくりとは言え、最後は足が疲労してきたのがわかる。

ゆっくり歩いても、距離は同じだから、そこそこのダメージはあるみたい。

最後はストックを出してちまちまと進む。

そうそう、これこれ。

午後3時、帰ってきました。

帰りは月の紋章のお方に会うこともなく、楽しい一日になりました。

結局、あれは熊だったのか?

両神山荘で下山のチェックをして、山荘の方に熊?のできごとを話すと、

「こんな人里に熊なんか来ないよ。もっと奥にいるから。」

というご意見。

「カモシカも多いよ。鳴き声はちょっと高い声がするけど。」

いやいや、カモシカとは違う・・・。

でも、宿の主人が言うなら、熊ではないのだろう。

この辺には出ないというのだから、犬系だったのかな?

しかし、帰宅してネットで検索したら、

2016年5月の写真

出とる・・。

2016年5月23日 トレイルランをしていた男性が山頂付近で下山途中に1mの熊と遭遇。

襲われて怪我をしたものの迎撃して逃げ帰ったという話。

私は熊鈴、つけていません。

早急に購入装着します。

熊撃退スプレーもマジで検討中。

両神山登山データ(時間)

日向大谷(6:00)ー会所(6:50)ー白藤の滝分岐(8:10)-清滝小屋(9:00)ー両神神社(10:15)-山頂(11:00)-両神神社(11:40)―清滝小屋(12:35)―会所(14:25)―日向大谷(15:00)

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